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インダクタの種類と特徴 [インダクタって何だろう]

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1 「インダクタ」って何だろう 2 インダクタの種類と特徴 3 インダクタの使い方

      
1  インダクタって何だろう
 


 「コイル」と呼ばれたり「インダクタ」だったり、教科書には「バネ状」のコイルが説明してあるのに実際に使うコイルは似ても似つかぬ面実装型だったりと、初めて扱うエンジニアにとって、とっつき難い部品のひとつかもしれません。
  抵抗器R、コンデンサCと共に受動部品を構成する重要な部品であり、電子機器には必ず使われます。本編では、ほんの少しの電磁気学を駆使して、インダクタについて理解を深めてみましょう。



 コイルの原理
 

  電線に電流が流れると電線を中心とした同心円状に磁界が発生します。そこで、電線を(図 1) のように「バネ状」に成形すると、コイル内部では磁束が同一方向になって強められます。この巻数を調整することによって、巻数に比例した磁界を発生させることができます。これがコイルの原理です。
  コイルに電流が流れると磁界が発生し、逆に磁界が変化すると電流が流れます。
(電磁誘導の法則)
        

           d i         
    E = L ・―――  
           d t    

   L: コイルの自己インダクタンス
   E: 逆起電圧


図-1 コイルの原理

  コイルに発生する逆起電圧Eは、単位時間当りの電流の変化率(d i/ d t )に比例しますので、同一方向に一定電流が流れ続ける直流では発生しません。つまり、コイルは直流電流に対しては何の作用もせずに、交流に対してだけ、電流を流さないように作用するのです。コイルの持つこの性質を利用して、交流回路における抵抗(インピーダンス)として利用します。コイルの持つインピーダンス Z (単位 Ω)は

        Z=ΩL=2πfL  

と表せます。fは交流の周波数、 L はコイルの自己インダクタンスです。

 

鉄芯 の話
 
 コイルは、断面積Sが広いほど、磁路 (磁束の 通る道)が短いほど磁束を多くすることができます。また、磁束は磁気抵抗の少ないところに集まる性質を持っています。そこで、透磁率の大きな強磁性体をコイルに挿入することで磁束を多くすることができます。これが鉄芯の存在理由であり、大きなインダクタンスが欲しいときやコイルを小型化したいときは透磁率の大きな磁性体鉄芯を挿入します。(図- 2 )

図-2 インダクタンス

 インダクタンスは巻数nの二乗、巻線の半径aの二乗に比例し、鉄心の透磁率μに比例します。
無限長ソレノイドにおけるインダクタンスは

   L =μn2S
   S=πa2

  この L をインダクタンスと定義します。μは鉄芯の透磁率で、空芯の場合は 1.0 (=空気の透磁率)です。
  ただし、鉄芯にはヒステリシス特性があります。磁束・材料・温度によって特性が変化したり、損失やひずみが発生します。
  更に、磁気飽和でインダクタの特性がなくなってしまうという、やっかいな性質も抱えています。

 
電源回路用インダクタのキーワード
 

 電圧や電流を変換したり、電気エネルギーを他へ伝達するための回路で使用されるインダクタでは、エネルギーの損失が少ないことが重要な要件になります。   電気エネルギーがコイルを通過する過程において、その一部は熱になって周囲へ放散してしまいます。このエネルギー損失の内訳を「鉄損」「銅損」と定義される 2 つに分類して考えます。

 

● 鉄損( iron loss, core loss )

 鉄芯を交流磁束が通るとき、鉄芯内に発生するヒステリシス損とうず電流損を合わせたもので、鉄芯内で起こる電力損失の総称です。

● ヒステリシス損( hysteresis loss )

 ヒステリシス現象による熱損失を言います。ヒステリシスループ(図-3)を一回りすると鉄芯の磁化はもとの状態にもどります。この間に加えられたエネルギーは熱の形で放出されます。これがヒステリシス損です。


● うず電流損( eddy current loss )

 磁束が変化すると電流が発生します。鉄芯の表面を磁束が突き抜ける際、磁束に直角の同心円状に電流が流れてしまいます。これがうず電流で、鉄芯の持つ電気抵抗によって熱となってエネルギーを損失することになります。失なわれるエネルギーをうず電流損と呼びます。

● 銅損( copper loss )

 コイルとして巻いてある電線の電気抵抗によって、電流が熱に変わってしまう損失を銅損と呼んでいます。巻線素材として銅線を用いることからこの呼び名があります。


 高周波回路用インダクタのキーワード
 

 高周波回路では、コイルの性能を表す指標として Q を用います。高周波における損失の少なさを示す指標と考えると、わかりやすいかもしれません。
  コンデンサと組み合わせて共振回路を形成する場合などでは、なるべく Q の高いコイルを選びます。

 

● Q ファクター( quality factor )


  共振の鋭さを表す値です。一般に Q が大きいほど共振は鋭く、良いインダクタとされます。
  周波数が高くなると、電線における表皮効果や鉄芯材料におけるヒステリシス損とうず電流損が増加して Q を下げる方向に働きます。つまり、高周波では Q の高いコイル、言いかえると高周波でも高インピーダンスのコイルを得ることは難しいのです。

LCR 直列共振回路においては

      Ω L             1
Q = ―――  =  ―――    と表されます。
       R          Ω CR

● 自己共振周波数( self resonant frequency )


 コイルの等価回路は図-4 のようになり、本来のインダクタンスの他に、巻かれている電線同士で形成されたコンデンサ(線間容量)と巻線抵抗、リード線のインダクタンスなどから成ります。
  線間容量 Cr は微少な値であるため、低周波では問題になりませんが、インダクタを高周波回路で使う場合には配慮が必要です。
  コイルのインピーダンス特性( Z −f特性)を考えてみましょう。コイルのインピーダンスは、 Z = 2 πf L ですから、周波数が高くなるにつれてインピーダンスは大きくなります。ところが、ある周波数f o において、コイル本来のインダクタンス L と線間容量 Cr が共振現象を起こします。そして、更に高い周波数においては線間容量 Cr が支配的となり、インピーダンスが低下してしまいます。


図-4 コイルの等価回路


図-5 自己共振周波数

 インピーダンスの変極点となる周波数f o を自己共振周波数と呼びます。自己共振周波数f o よりも高い周波数では、コイルがインダクタとして役に立たなくなります。(図- 5 )

 コイルを高い周波数で使用する場合には、仕様書やデータでf o を確認してください。 表 1 に、高周波コイルの仕様の一例を示します。

 

 
表-1 高周波コイルの仕様
   
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