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回路のブラッシュアップ[金属酸化物バリスタの選定]

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1 金属酸化物バリスタの選定
バリスタ選定の手順  
  金属酸化物バリスタ選定の基本手順をFig.1に示します。 
基本手順にそって具体的な事例を示しながら、選定の流れを追ってみましょう。


Fig.1 バリスタ選定の基本的手順




事例)電源ラインでの線間雷サージ吸収対策

Fig.2 回路事例
電源電圧 VE=200(Vr.m.s.)±10%
サージ電圧 V=5(kV)
等価インピーダンス ZS=100(Ω)
サージパルス幅 tT=50(μs)
負荷の耐電圧 VP=800(V)
サージ回数 N=104


@バリスタ電圧の決定  
  まずは回路電圧から適切なバリスタ電圧を選定しましょう。

1)回路電圧VE(V)から@式を用いて選定するバリスタ電圧の最小値を決めます。

VEp≦VV(min)(1−β) …@
VEp:回路電圧のピーク値
VV(min.):バリスタ最小電圧値
α:安全係数(α=0.1)

事例では電源電圧が200Vr.m.s.±10%ですので、
@式からバリスタ電圧
VV(min.)≧(200√2 ×1.1)/(1−0.1)
      ≧346(V)


事例で選択するバリスタでは、カタログ記載のバリスタ電圧範囲の規格範囲下限値が346V以上のものを選択する必要があります。
さらに、バリスタには常時印加可能な電圧の限界値として最大許容回路電圧という規格があります。
この電圧を超える電圧を常時印加してしまうとバリスタが劣化してしまう可能性がありますのでこちらも考慮する必要があります。

 

2)回路電圧VE(V)からA式を用いて必要な最大許容回路電圧を求めます。

VE≦VA(1−α) …A
VE:回路電圧
VA:最大許容回路電圧
α:設計マージン(α=0.2)

事例では電源電圧が200Vr.m.s.±10%ですので、
@式からバリスタ電圧
VV(min.)≧(200×1.1)/(1−0.2)
      ≧275(V)


二つの条件から、選択するバリスタの公称バリスタ電圧は、
バリスタ電圧範囲の規格範囲下限値が346V以上、
最大許容回路電圧が275V以上の製品を 選択する必要があります。
カタログを見ると、NVDxxUCD390以上のバリスタ電圧の製品を選択することになります。
しかし、これだけでは不十分です。
サージ電圧の侵入時にバリスタの電圧抑制が適切な範囲であるか検討する必要があります。
でなければ、肝心のサージ電圧侵入時に適切な電圧抑制効果が得られない可能性があります。


Aバリスタへの流入サージ電流の計算
保護するべき回路のFig.3とすれば、金属酸化物バリスタに流れるサージ電流Ipは、B式より求められます。

Fig.3 サージ等価回路
 

Ip=(Vs−Vc)/ Zs …B
Ip :サージ電流
Vs :サージ電圧
Vc :バリスタ抑制電圧
Zs :等価サージインピーダンス

※Vcは大抵の場合Vsよりも小さな値であるため、Vcを考慮せずに簡易的に計算することもできます。


事例では、VS=5(kV)、ZS=100(Ω)、VP=800(V)ですので、
B式より
Ip=5000/100
=50(A)  ※パルス幅tT=50(μs)

サージ電圧が侵入したときにバリスタに流れる電流値は50(A)ということがわかります。


B抑制電圧(制限電圧)の決定
保護対象の耐電圧VPに対して 、B式より求めた電流IPに対する金属酸化物バリスタの制限電圧がVP以下となるものを、カタログの電圧-電流特性曲線より選びます(Fig.5参照)。


Fig.3 電圧-電流特性曲線と、IP、VPの関係

 
 

事例の回路では、バリスタ公称電圧390(V)以上、
最大許容回路電圧275(Vr.m.s.)以上を考慮しながら、
カタログの電圧-電流特性曲線よりIp=50(A)に対する制限電圧が800(V)以下になる、
金属酸化物バリスタを暫定的に対象とします。

この条件に照らし合わせると…
φ10製品:NVD10UCD430、NVD10UCD470
φ14製品:NVD14UCD430、NVD14UCD470

以上の4製品から選択することになります。


Cディスク径の大きさ決定
B項より求めたサージ電流IPならびにサージパルス幅tT(s)と繰返し回数に対して、
サージ耐量・サージ寿命特性(個別規格参照)を使用し、許容値範囲内の金属酸化物バリスタを選びます。

B項で計算されたIP=50(A)、tT=50(μs)と繰り返し、104回に対して
カタログのサージ耐量・サージ寿命特性より選びます。

カタログから…
NVD10UCDxxx:80(A)、NVD14UCDxxx:120(A)

この結果、いずれも50(A)より大きく、 B項で対象とした品種がすべて使えることが分りますが、
サージ回数104回は、不確定要素を多分に含んでいると思われます。
実装面で特に問題がなければ、設計上の余裕度を十分とり、
φ14製品であるNVD14UCDタイプを選択したほうがよいでしょう。


 

以上でバリスタ選定の大まかな流れをご説明しました。
サージ対策時にバリスタをご検討されるときの参考としていただければ幸いです。

  
   
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